人気ブログランキング | 話題のタグを見る
:books:
achabooks.exblog.jp
  Top
影踏み:横山秀夫
2008年 05月 07日 |
影踏み:横山秀夫_a0104226_20395395.jpg
消せない“傷”を背負った三人の男女
決して交わることのない魂の行き場――
かつてこれほど切ない犯罪小説があっただろうか。

深夜の稲村(いなむら)家。女は夫に火を放とうとしている。
忍び込みのプロ・真壁修一(まかべしゅういち)は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた――。
直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。
だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか? 
母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った……。(「消息」より)
(文庫裏書き)

うっわー。
やばいっすよー、これ。せつないっ。
というか、あの〜〜〜別に言ってもいいんですよね?
つか、ただの「三角関係」なんて思われたら
逆に読む気失せるのでは???(苦笑)

主人公であるノビカベことノビ師の真壁修一と
その修一の双子の弟啓二の会話から始まるこの小説。
啓二の声は修一の内耳の奥、頭蓋骨に響いてくる。
そう、啓二は高校生のとき、母親に無理心中の果て
すでに死んでいて、修一の中にいるのです。
そして二人が思いを寄せている女性がいるわけで。。。
「双子とは互いの影を踏み合うようにして生きているところがある」

といってもこの本、ただのホラーやファンタジーとは
まったく違う、とてもシリアスなせつない連作短編集。
もぅこの主人公の真壁がね〜
不器用なんですよ。もっと楽に生きればよいのに、と
思ってしまうほどとてもストイック。
けれどそれは信念からなんかではなく
心の傷ゆえ。
母と弟、弟と自分、気づいているのに気づかないように
するかのごとく、犯罪の世界に身を置き続けるような。

ちなみにノビ師とは深夜、寝静まった家にこっそりと入る泥棒
そう、この本の主人公は犯罪者。
いつも警察側を主人公に書いている横山作品の中では異色。
それでも警察内部と犯罪者たちの微妙なやりとりや
裏家業独特の単語など、横山らしさも散りばめられている上
極端に記憶力のいい啓二と頭の切れる修一が
解いていく謎もミステリーとして十分楽しめる出来に仕上がっていて
異色ながらもかなり大好きな横山作品の一つになりました。
<< ハードボイルド・エッグ:荻原浩 PageTop サバイバー・ミッション:小笠原慧 >>
XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ
Starwort Skin by Sun&Moon