球形の季節:恩田陸
2008年 12月 28日
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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した!新鋭の学園モダンホラー。
(「BOOK」データベースより)
恩田陸の不思議=静かな気味の悪さいっぱいの
学園モノ。ホラーやミステリというよりもファンタジーなのかな。
確かに、「噂」の発生する理由として
退屈な毎日からの逃避、刺激を求めて、ということなのだと思うし
その年代ならではの退屈さというのも十分ここまでは理解できる。
そして、その噂の発生元を確かめる、という少年、少女達の
動きも面白い。
けれどそれだけに留まらない。
気を抜くともぅついていけない「あちら」側に
話だけが「飛んで」しまって置いて行かれた気分。
東北のある田舎町に重なるようにして存在する「あちら」。
そこは行ける人と行けない人がいる。
必要としていない人もいればそこに安らぎを感じる人もいる。
あちら側へ行くことが進んでいることなのか。
はたまた。。。
と、読後感も消化不良気味。。。
ただ多感な時期の登場人物たちの思考回路を
なぞるのは十分に面白いし、ぐいぐい読み進められる力も
あります。
特に、そういった地域で育った人にはかなり
感じるところがあるかもしれません。
同調する気持ち良さもその中にはあるとは思います。
けれどこの最後に放り投げだされたような感覚。
これが気持ちよいと感じるか不満と感じるかは
かなり人によって別れるところとなりそうです。
by acha-books
| 2008-12-28 23:15
| :恩田 陸
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