おめでとう:川上 弘美
2009年 01月 03日
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きんめ鯛を手土産に恋しいタマヨさんを訪ねる“あたし”の旅。終電の去った線路で、男を思いつつ口ずさむでたらめな歌。家庭をもつ身の二人が、鴨鍋をはさんでさしむかう冬の一日。ぽっかりあかるく深々せつない12の恋の物語。書下ろしをふくむ待望の最新短篇集
(「BOOK」データベースより)
忘れないでいよう。今のことを。今までのことを。これからのことを。
小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。
出版社/著者からの内容紹介
なんていったらいいんだろう。
川上節全開、ということなのかな。
淡々としていて凛としてほんわかしてるけれどせつない。
一切において無駄がない短編ばかり。
時間の流れというのは本来こういう流れ方で
自然の一部で、川のように風のように
流れて行くもので
その中に身を任せることへの安心感と
茫洋とした不安感が混ざったような世界。
その中で唯一の芯となるのが彼女の
言葉のうまさ。日本語の美しさ。
これはもぅ好きな人にはたまらない世界でしょう。
はっきりとした起承転結、盛り上がりやどろどろとした
恋愛などを求める人には決して向かない一冊。
大人のための童話のような。
枕元において一遍一遍読んでいきたい本。
あ、表紙に騙されちゃいけません(笑)
by acha-books
| 2009-01-03 22:22
| か行作家 その他
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