人気ブログランキング | 話題のタグを見る
:books:
achabooks.exblog.jp
  Top
2008年 02月 05日 |
チームバチスタの栄光(上下巻):海道 尊_a0104226_23451117.jpg
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から
心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として
招聘した。彼が構築した外科チームは
心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の
通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り
その勇名を轟かせている。
ところが、3例立て続けに術中死が発生。
原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が
重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は
神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者
田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。
壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。
そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。
医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。
栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

このミス大賞受賞作ということでずっと気になってはいたこの本。
どの書評を見ても褒めちぎり。
さて?と思っていたのですが矢張り、評判のいい本というのははずれなし。
まさしくエンターテイメント。
誰にでも勧められる一冊。

とにかくキャラがたっている。主人公の不定愁訴外来、通称グチ外来の
田口と厚生労働省大臣官房秘書課付技官、医療過誤死関連中立的
第三者機関設置推進準備室室長という長い肩書きを持つロジカル・モンスター
白鳥、この二人の絶妙なコンビはもちろんのこと
高階病院長の一癖も二癖もあるのにいやらしくない巧妙さも
病院内のスピーカーのごとき扱われる医者の兵藤もいい味だしてます。
白鳥は、文庫本の解説でもあちらこちらの書評でも言われているように
確かに奥田瑛二の造り上げたキャラ「伊良部」を彷彿とさせる
強烈さですが、彼の理論だけで相手を言いくるめる言葉の羅列は
読んでるとかなりクセになりそう。

作者は医者ということもあって病院内の派閥そして現在の大学病院内の
問題や医療現場の危機的状況といったものを
散りばめると同時に、そんな作者だからこそ描ききれたのではないかと
思われる臨場感と緊迫感、そしてミステリとしての上質さ
どれを取ってもこれがデビュー作とは思えない出来の良さ。
現状の説明や人物紹介がメインとなる上巻も
丁寧に話がすすめられているからこそ中だるみを感じることは
なかったのですが、下巻に入ってからの面白さは比ではありません。
もぅ白鳥が登場してからのテンポのよさと言ったら!

映画では「白鳥」は阿部ちゃんなんですよね。
ドラマで伊良部役もこなした彼ならさぞかし面白い白鳥になるのでは。
かなり興味あります。
まぁ田口の役割が女性になっちゃうってのはどうかな(苦笑)
(読んでる間、田口はあたしの中で、三原順のキャラ、DDでした。
「ライティングムーン」の。オトナになったサーニンでも可、って
わかる人にしかわからない〜。役者さんなら堺雅人?)
2008年 02月 05日 |
図書室の海:恩田 陸_a0104226_23462488.jpg
あたしは主人公にはなれない—。
関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式
夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。
高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。
少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)
『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。
恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
(「BOOK」データベースより)

恩田陸、好きですか?
「麦の海に沈む果実」はもぅ読みましたか?
「夜のピクニック」は?「六番目の小夜子」は?
そこまで読んだらぜひこちらも読んでください。
それぞれの話の番外編が楽しめます。
さらに、過去、色々な場で発表された話が集められた短編集。

’時間怪談’をテーマにかかれた時間を超え繰り返される
「春よ、こい」
’血の12幻想’の為に書かれた
「茶色の小瓶」
「グリーンスリーブス」の予告編として書かれた
「イサオ・オサリヴァンを捜して」
「麦の海に沈む果実」の水野理瀬の幼少期を書いた
「睡蓮」
密室をテーマにしたアンソロジー’大脱走’の為にかかれた
「ある映画の記憶」
「夜のピクニック」の予告編、その前夜が書かれた
「ピクニックの準備」
ホラー短編として週刊小説のために書かれた喫茶店のウェイトレスの犯した罪
「国境の南」
新世紀新年号の小説新潮に書かれた旅する城塞都市
「オデュッセイア」
「六番目の小夜子」番外編、関根秋の姉、夏のエピソード
「図書室の海」
SFマガジンの女性作家ホラー特集に書かれた
「ノスタルジア」

SFあり、ミステリーあり、ホラーあり多種多様に広がる恩田ワールド。
ラストが余韻を残す作品も読後の広がりを感じさせるものが多かったり
設定をはっきりさせてなかったりと言った話は好みのわかれるところかも?
2008年 02月 01日 |
神様からひと言:荻原 浩_a0104226_2347448.jpg
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した
佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし
リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ
異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。
実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。
ハードな日々を生きる彼の奮闘を神様は
見てくれているやいなや…。
サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。
(「BOOK」データベースより)

さて、この本。本屋で何度も手に取っては
読むのをためらっていました。
だって「サラリーマンに元気を」とか
「クレーム処理に奔走」とか。。。
仕事はなんだって大変なんだからもぅ本の中まで
それはお腹いっぱい、なんて思って。
要するに「普通」の働くサラリーマンのお話を
想像していたわけですが。。。

いやぁ、損した!もっと早く読めばよかった!
変な思い込みはいかんねっ。だめだめですよ。
ただこの作者の書く話は「明日の記憶」だったり「噂」だったり
シリアスな路線も十分、考えられたからなぁ。
これは違います。
そんなんあり?ってなくらい突拍子もない反則ぎりぎりな
コメディタッチ。いや、その反則が醍醐味。
読後感は爽快。気持ちいいです。

まずこの食品会社の設定からして、そりゃナイでしょ?な
状態なのですが、さらにそこに「巣食う」社員たちも
一筋縄ではいかない人たちばかり。
イヤなヤツはとことんイヤなヤツでここは正解。

キャラ設定もそうですがこの作者のユーモアセンスあたしは好きです。
もちろんそれだけではなく、苦みもあって
そしてそこに「神様」のひと言をつい深く読みたくなるような
優しさも散りばめられた本。
クレーム処理なんて体験談、聞いてるだけで胃が痛くなりそうな
そんな職場の話をここまで、すっきりした読後感を与えてくれる
それだけでもかなりのものではないかと。
少し厚みのある442頁、でもちっとも長さを感じさせませんよ。

新宿中央公園だってどこでだって生きて行ける!
腹くくった人間は強くなれるし、要は気の持ち様!
元気、わけてもらいませんか?
2008年 01月 29日 |
館という名の楽園で:歌野晶午_a0104226_23483612.jpg
「奇妙な殺人事件は、奇妙な構造の館で起こるのが定説です」
三星館と名づけられた西洋館の主は
四人の招待客にある提案をした。
それぞれが殺人者、被害者、探偵役になって行なう
“殺人トリック・ゲーム”である。
そして今、百数十年前にイギリスで起こった事件が再現される!
時空を超えて幽霊のごとく立ち現われる奇怪な現象、謎
さらに最後の惨劇とは。
(「BOOK」データベースより)

中編だとは思いますがなんせ薄い、153ページ。
数時間で読み終わります。
たぶんミステリ好き、本格好きさんは出てくる固有名詞すべてに
反応できてそこもまた楽しめるのでしょうね。
館を使ったトリック、そこに夢を抱くマニアには
きっと同調するところが多いのではないかと。
ただあたしはさほど詳しくないミステリファンなため
まず人物にさほど思い入れがわかず。
人物の区分けすらあやしくなる始末。
あくまで「トリック」ものとしてだけ読み進め
あたしの貧困なアタマがそのトリックを理解する前に
読む手がどんどん進んでしまい、あら、そうだったんだ?みたいな(苦笑)
ダメじゃん(苦笑)自分。
歌野お得意の叙情詩トリックではなくあくまで館トリック。

どうせならもぅ少し長くしてじっくり人物設定もされた上で
味わいある作品として楽しみたかった気がしないでもないけれど
作者はあくまでこのトリックそのものをメインに
書きたかったのかなと思うとこれはこれで正解なんでしょうかね。

じっくりその謎を自分で解くくらいの、作者と対決するくらいの
意気込みで読まないといけなかったようです(笑)
2008年 01月 29日 |
リビング:重松 清_a0104226_23492780.jpg
ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い。
今回の新居は完璧、だったはずなのに…
ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら
隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく。
四季折々に紡がれた連作短篇『となりの花園』を縦糸に
いとおしい毎日のくらしを横糸に
カラフルに織りあげた12の物語集。
(「BOOK」データベースより)

短編集?あれ?連作短編集?でもまた違う短編が。。。と
読み進めるうち、すっかり読者はこの「リビング」という四季を
巡る様々な生き様、生き方にはまっていきます。

「婦人公論」に1年間連載されたもので作者自身で決めたルールが
特集と連動した短編小説、というものらしいのですが
それをリアルタイムで読めたらもっと面白かったかもしれない。
まぁ十分この一冊でも重松節楽しめますけどね。
。。。重松節というにはちょっとヨワイかな?

それでも十分、家族、夫婦をテーマに日常を書かせるとやっぱり巧い。
些細な不安、心の揺れ、そして思いやる気持ちとすれ違う思い。
泣ける重松というより、まったりできる重松作品。
そろそろ重いのも読みたい気分ですがこんな作風もやっぱり好きです。
PageTop
XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ
Starwort Skin by Sun&Moon