2008年 02月 05日
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東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から
心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として
招聘した。彼が構築した外科チームは
心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の
通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り
その勇名を轟かせている。
ところが、3例立て続けに術中死が発生。
原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が
重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は
神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者
田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。
壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。
そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。
医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。
栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
このミス大賞受賞作ということでずっと気になってはいたこの本。
どの書評を見ても褒めちぎり。
さて?と思っていたのですが矢張り、評判のいい本というのははずれなし。
まさしくエンターテイメント。
誰にでも勧められる一冊。
とにかくキャラがたっている。主人公の不定愁訴外来、通称グチ外来の
田口と厚生労働省大臣官房秘書課付技官、医療過誤死関連中立的
第三者機関設置推進準備室室長という長い肩書きを持つロジカル・モンスター
白鳥、この二人の絶妙なコンビはもちろんのこと
高階病院長の一癖も二癖もあるのにいやらしくない巧妙さも
病院内のスピーカーのごとき扱われる医者の兵藤もいい味だしてます。
白鳥は、文庫本の解説でもあちらこちらの書評でも言われているように
確かに奥田瑛二の造り上げたキャラ「伊良部」を彷彿とさせる
強烈さですが、彼の理論だけで相手を言いくるめる言葉の羅列は
読んでるとかなりクセになりそう。
作者は医者ということもあって病院内の派閥そして現在の大学病院内の
問題や医療現場の危機的状況といったものを
散りばめると同時に、そんな作者だからこそ描ききれたのではないかと
思われる臨場感と緊迫感、そしてミステリとしての上質さ
どれを取ってもこれがデビュー作とは思えない出来の良さ。
現状の説明や人物紹介がメインとなる上巻も
丁寧に話がすすめられているからこそ中だるみを感じることは
なかったのですが、下巻に入ってからの面白さは比ではありません。
もぅ白鳥が登場してからのテンポのよさと言ったら!
映画では「白鳥」は阿部ちゃんなんですよね。
ドラマで伊良部役もこなした彼ならさぞかし面白い白鳥になるのでは。
かなり興味あります。
まぁ田口の役割が女性になっちゃうってのはどうかな(苦笑)
(読んでる間、田口はあたしの中で、三原順のキャラ、DDでした。
「ライティングムーン」の。オトナになったサーニンでも可、って
わかる人にしかわからない〜。役者さんなら堺雅人?)